ウチラボ 編集長

家を売っても住宅ローンが完済できない場合は? 残債があっても家の購入は可能

不動産会社に相談する前に

住み替えを不動産会社に相談する前は、家族とよく話し合いを進められてきたと思います。

話し合いで不安に感じることは、以下の内容が多いのではないでしょうか。

「資金計画」です。

こちらの質問は、大変よく受けます。
多く受ける質問のため、今回は「資金計画」の大切なポイントをまとめました。

現在、住み替えを考えている方に向けて、参考に出来るような内容にしました。

不動産会社で住み替えを依頼して、終わった後に「こうしておけば、もっと良かった」という後悔を残さない為にも、しっかりゆずれないポイントを固めておいて下さい。

不動産会社に依頼をすれは、後は全部やってもらえるという他人任せが、一番失敗しやすい原因です。
依頼をした後も、自ら主体的に動くことが大切です。

資金計画

前述のように、住み替えで一番大切なことは「資金計画」です。
無理な住み替えは、今後の生活に支障をきたし、必ず後悔します。

まずは資金計画で大切なポイントを説明していきます。

無理な住宅ローンを組まない事

近年、住宅ローンを組むときに「頭金なし」で、預貯金がなくても手軽に住み替えができるという宣伝が多くなりました。

また、夫婦共働きが増えてきた昨今、収入合算により、より多くの住宅ローンを借りる人が増えてきました。

金利の著しい低下も、住み替えに踏み出しやすい要因になっています。
これらを踏まえると、住み替えが以前よりし易くなったのは間違いないです。

住宅ローンの借り入れ額を計算するときは、収入の5倍が目安になります。
夫婦共働きであれば、収入は合算して計算され、より多くの住宅ローンが組めます。

しかし、多額の住宅ローンを組むという事は、毎月の返済額、返済期間が伸びます。

気を付けて頂きたいのは、収入合算で借りた場合、今後も夫婦共働きであることが前提の借入額です。

今の時代は、会社がいつ倒産になってもおかしくありません。
身体を壊して働けなくなることもあります。

子供が産まれれば、状況も変わります。
今は、保育園の不足により、待機児童が増えてきました。

入園を断られてしまった場合、子供を育てながらの共働きは厳しいです。

今は、育児休暇の取りやすい会社が増えてきましたが、全ての会社がそうではありません。
不景気が続く今、会社の福利厚生も変わる可能性が高いです。

このような理由から、いくら収入合算で多額の住宅ローンが組めるとしても、安易に借り入れないことです。

住宅ローンは、収入の4倍であれば、比較的楽に返済ができます。
住み替えがし易くなったとしても、今の時代こそ、住宅ローンは厳しい目で見ていくことが大切です。

無理な返済期間を設定しない事

基本、住宅ローンは定年を迎える60歳~65歳までに完済する計画が望ましいと言われています。
80歳まで組めるローンもありますが、これはお勧めしません。

よく「退職金で一括返済できるから大丈夫」とも言われますが、昔のように、多額の退職金がもらえる会社も減ってきました。

もし、予定していた退職金がもらえなければ、大変なことになります。

さらに、年金の受給額も確実に少なくなります。
80歳までの住宅ローンを組むことは、非常に危険だと言えます。

もし、繰り上げ返済を考えられている場合は、より資金計画を細かく考えて下さい。

生活をしていれば、予想だにしない出費がかかることがあります。

「子供の養育費」「突然の倒産による転職」「体の不調による退職」など考えれば切りがありませんが。
代表的なことでは、家の修繕費です。

特に、一戸建ての場合「こんなに維持費が掛かるとは思わなかった」とよく聞きます。

マンションは修繕積立金など、毎月積み立てをしていますので、その点は少し安心できます。

ただしマンションの場合は、急な修繕積立金の値上げなどがありますので、ご注意ください。
特に戸数の少ないマンションほど、その傾向が高いです。

まとめ

大切なポイントは「資金計画です」
資金計画で大きく影響するのが、住宅ローンの「借入額」「毎月の返済額」返済期間」です。

住宅ローンは、老後のことまで考えて、無理なく返済していく事が出来るかが重要です。

返済期間が定年を超える場合は、より厳しく考えて下さい。

定年前でも、今は世の中の状況が大きく変わってきてます。
今の状態が当然のように続くとは考えないでください。

以上の内容について、家族でしっかり話し合いをして、不動産会社に相談に行きましょう。

なぜなら、担当者によって、アドバイスは全く変わってくるからです。

経験の少ない担当者であれば、将来を見越した資金計画のアドバイスは難しいです。
経験豊富な担当者でも、時期によっては、売却や購入を急がせ、無理な資金計画を立てることもあります。

担当者で左右されない為にも、しっかり自分の中で、資金計画を立てましょう。

そうすれば、良くない担当者に当たっても、すぐに担当者を変えたほうが良いという判断ができます。

最後に、不動産の購入は大きな買い物の為、細かい計算に疎くなることが多いです。
細かい数字まで良く把握して、取引を行うように注意してください。

実際の住み替え例をご紹介します。

住み替えではまず、不動産会社に査定依頼をされると思います。

一つの不動産会社で希望する査定額までいかなければ、他の不動産会社にも査定依頼を出されると思います。

それでも、査定額が上がらなければ仕方ありません。
もし、住宅を売却しても住宅ローンの残債か残る場合、住み替えが可能なのかについて、お客様の住み替えを例に出して、お話をさせて頂きます。

住宅を売却しても住宅ローンの残債が残るケース

住宅の売却について、不動産会社に査定依頼を出したお客様は、ローンの残債が残る結果となりました。

すなわち「住宅ローンの残債>査定額」です。
厳しい状況でしたが住み替えを始めることになりました。

お客様の状況

  • ご夫婦に小学生のお子様2人
  • 木造2階建て、3LDK、築25年
  • 住宅ローンの残債1100万円
  • 自己資金150万円

お客様からのご希望

お客様のご希望はこの通りです。

  • 子供に部屋を一つずつ与えても、余裕のある広い空間
  • 長年の憧れである新築一戸建て

最寄の駅からは遠くても大丈夫でしたので、探せる物件は大きく広がります。

お客様の一番の不安は「住宅を売却しても住宅ローンを完済できないのに、住み替えは大丈夫だろうか」ということです。

資金計画

ここで最も重要なのが資金計画です。
資金計画ではっきりさせる事は、

  • 住宅の最低売却額と購入物件の価格帯
  • 今後の返済期間と返済額

各項目について説明していきます。

住宅の最低売却額と購入物件の価格帯

住宅の査定額は、路線価や公示価格、取引事例から、大体の金額が決まります。
あとは住宅の個別条件で金額が上下します。

結果、売却額は「1000万円」でした。
実際の売却活動では、適正な査定額であっても、すぐに売れることもありますが、長い期間売れないこともあります。

また、値下げ交渉に入ることも多く、もし売れない期間が続けば、不動産会社に買取りを依頼することもあります。

不動産会社に買取りを依頼した場合は、市場価格の「70%」が一般的です。
査定額が1000万円なら「700万円」となります。

後に説明しますが、売却損が出ている為、不動産会社に買取りを依頼する可能性は高いです。

その為、不動産会社の買取り予定額を最低売却額に設定しました。
住宅ローンの残債は「1100」万円の為、売却損は「400万円」です。

購入物件については、ご希望の路線で、新築物件を探しましたが、おおよそ3000万円で購入できますので、価格帯は「2800万円」で設定しました。

今後の返済額

ここまでで、住み替えにかかる総額が分かります。
購入物件「2800万円」+売却損「400万円」+諸経費概算「280万円」−自己資金「150万円」

住み替えでは、当然諸経費がかかります。
諸費用の目安は、物件売却時「4%」新築物件購入時「3〜5%」中古物件購入時「6〜8%」です。

住み替えで必要な資金の総額は「3330万円」でした。
売却損が出ている為、住宅の売却を条件に「住み替えローン」を利用することにします。

前の説明で、不動産会社に買取りを依頼する可能性が高いことを説明しましたが、それは住み替えローンを利用するためです。

住み替えローンの条件は住宅の売却ですが、大切なのは「同時」に行うことです。

不動産会社に買取りを依頼することも検討していれば、売却が遅くなっても慌てる必要はありません。

もちろん、タイミングよく市場で売却できれば、なお良いです。
返済については、当然ですが返済期間と毎月の返済額が上がります。

返済期間については、定年前までに完済できる設定にしましたが、その分、毎月の返済額が高くなります。

収入から毎月の返済額、養育費、積立てなどを差し引いて、生活に問題がないか一緒によく考えました。

「少々厳しい生活になります」とは伝えましたが「憧れの新築一戸建てに住めるなら頑張れる」との強い気持ちを持たれていた為、住み替えをこちらの資金計画で始めることにしました。

住み替え活動を開始

無事に住み替えローンの事前審査を通った為、売却と購入を同時に進めていきました。

住宅の売却については、査定額通り「1000万円」で始めました。
月に2〜3回の内見はありましたが、中々決まりませんでした。

お客様から「部屋も痛みが目立つので、リフォームをした方が良いかな」とのご相談もありましたが、もう少し待って頂きました。

近隣の物件を見直したり、内見にいらした方の反応を見て検討した結果、このままでも売れるという確信があったからです。

そして1ヶ月後、購入の申し込みが入りました。
値引き交渉に入ったため「50万円」の値引きで合意を得られました。

購入を希望されていた新築一戸建てについても、契約に話が進みました。

無事に住み替えを終える

不動産会社に買取りを依頼しなくても、売却と購入を同時に進めることができましたので、住宅は高く売れ、住み替えも無事に進めることができました。

お客様には、本当に喜んで頂き、私も頑張った甲斐がありました。

最後に

住宅を売却して住宅ローンを完済できなくても、住み替えが可能かについて、可能というお話でした。

ただし、資金計画が非常に重要だということをお伝えしてきました。

こちらのお客様は、厳しい資金計画でも納得して住み替えを成功させましたが、資金計画を疎かにしていれば、同じ結果になったとしても、お客様は今後の生活で「失敗した」と思われたかもしれません。

資金計画を立てることは、資金だけでなく、気持ちの面でも重要だということです。

ウチラボ編集長
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