ウチラボ 編集長

住み替えローンのメリットとデメリット。売却額で住宅ローンを完済できない時には便利ですが

住み替えは、ライフスタイルの切り替え時に検討することが多くなります。
売却と購入を合わせて行う大変な行事です。

住み替え後の幸せな報告はよく聞きますが、その分、売却・購入の活動時は、不安をよく聞きました。

特にご相談された内容は、売却資金で住宅ローンを完済できない場合です。

自己資金があれば、その分を充当できますが、それでも足りないことも多いです。

その場合は「住み替えローン」を勧めます。
それでは、住み替えローンについて、説明していきたいと思います。

すぐに住み替えをしたい時に助かる住み替えローン

住み替えは、子供が増えたり、転勤、老後に備えてなど目的は様々ですが、多くの方が疑問に思うことがあります。

「住宅ローンが残っている状態で、新居の購入が可能なのか」

結果から話しますと、可能です。
そんな時に利用できるのが「住み替えローン」です。

住み替えローンとは、住み替え時に住宅を売却して、担保割れした分を新たに組む住宅ローンに上乗せする方法です。

残債が返せなくても、すぐに住み替えをしたい時に助かります。

しかし、便利なことと同時に、注意点をしっかり理解しておくことが大切です。

安易に利用してしまうと、今後の生活に支障をきたしてしまう可能性があります。
そうならない為に、重要な点に絞って説明していきます。

住み替えローンのメリット・デメリット

それでは、住み替えローンのメリット・デメリットについても見ていきましょう。

メリット

住宅ローンの残債があっても、新居の住宅ローンに上乗せして、一つにまとめられる点です。

まとめて借りた金額から、毎月の返済額が設定できますので、二重ローンのように、毎月の返済額が極端に大きくなることはありません。

また、自己資金を残債に充当する必要がありません。
しかし、その分毎月の返済額と返済期間が延びてしまいます。

あくまでも、近い日に大きな出費がある場合に向けて、自己資金を手元に残すことができる点がメリットです。

デメリット

住み替え先探しを急がなければならない

売りに出している住宅に買い手が見つかれば、清算までに住み替え先を探さなければなりません。

住み替えローンは「売却の精算と購入を同時にする」という条件があるからです。

住宅は、多くの方にとって人生で一番高い買い物です。
それを数ヶ月で選ぶのは難しいと思います。

買い手が見つかってから、住み替え先を本格的に探すのでは遅いため、内見なども同時に行い、ある程度の目星をつけて置くことが望ましいです。

審査基準が厳しい住宅ローン

住宅ローンの場合は、購入する物件を担保として借ります。
その為、その価値以上の金額を借りることはできません。

住み替えローンは、担保の金額を超えて借りるため、当然ローンを組む人物の審査が厳しくなるのは仕方ありません。

年収や住宅ローンの返済状況、勤め先などを総合的に判断され、無事に審査が通れば、晴れて住み替えローンを組むことができます。

住宅ローンは金利の高め

審査基準が厳しくなることと理由は同じです。
住み替えローンは、金融機関にとって担保以上の金額を貸すことになりますので、リスクが高くなります。

その為、担保の価値までを貸し出す住宅ローン比べて、金利が高くなるということです。

注意点もしっかり把握して利用しましょう

住み替えローンは非常に便利ですが、注意点をよくご理解されることが大切です。
一つは、売却と購入を同時に行うことです。

具体的には、売却の決済を購入の手続きまでに行わなければなりません。
したがって、住み替え先を急いで探す必要があります。

2つ目は、毎月の返済額と返済期間が延びてしまうことです。
毎月の返済額から生活費などを差し引いて、生活に支障がないかが大切です。

生活費以外にも、教育費、老後の資金なども貯める必要があるため、余裕を持った資金計画が大切です。

返済期間についても、定年後も続く場合は、特に注意が必要です。
以上の注意点について、しっかりと不動産会社の担当者と話し合ってください。

また、住み替えローン以外にも、二重ローンやつなぎ融資についてもお話をさせて頂きました。

今の状況に適した方法を選べるように、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

住み替えは、タイミングと資金計画を間違えれば、大きな失敗を招くことになります。

適切なアドバイスをもらうためにも、信頼できる不動産会社を選ぶようにしてください。

そのためには、一つの不動産会社だけではなく、必ず複数の不動産会社に話を聞きに行くことをお勧めします。

住み替えローンの安易な利用は危険

住み替えローンとは「今ある住宅ローンの残債を新居の住宅ローンと合わせて借りる」というものです。

今の住宅を売却した時に、売却額で住宅ローンを完済できれば問題ありません。
これを「アンダーローン」を言います。

一方、売却額で住宅ローンを完済できないことを「オーバーローン」と言います。

例えば、以下のような場合です。

「例」

  • 売却する物件の住宅ローンの残債: 4000万円
  • 売却する物件の売却額: 3500万円
  • 購入する物件の住宅ローン: 4500万円

この例であれば、残債を売却額で賄うことが出来ず「500万円」足りませんが、預貯金で完済することも出来ます。

もし預貯金がなければ「5000万円」の住み替えローンを組む必要があります。

実際には、売買における諸費用も掛かりますので、ご注意ください。

おさらい

一番気を付けないといけないポイントは、売却と購入を同時にするという条件があることです。

対応方法としては、不動産会社に買取りの相談をしておくことです。

決めた期日までに売却できなければ、いくらで不動産会社に買い取ってもらうという話を付けておけば安心です。

次に、住み替えローンにすると、必然的にローンの総額が高くなりますので、返済額と返済期間が伸びる点です。

かならず、増加した返済額で生活に支障がないか、資金計画を立てましょう。
また、返済期間も伸びる為、もし定年後も支払う場合は要注意です。

退職金などの当てがあれば良いですが、当てもなしに「何とかなるだろう」と思わないようにお願いします。

毎月の返済額が高くなっても、出来るだけ定年までに完済できる資金計画が安全です。

住み替えローンはとても助かるローンですが、注意するポイントがありますので、説明していきます。

返済期間が延びる

住み替えローンの特性上、どうしても返済期間が長くなってしまいます。
今は、返済期間を定年後まで伸ばせるところも増えてきました。

定年後は、基本年金暮らしになります。
当然ですが、定年前と同じようには考えないでください。

よくあるケースとしては、退職金で完済するというものです。
しかし、今は有名な企業でも突然倒産するような時代です。

退職金で完済する額は、減らしおくことが望ましいです。
その為にも、繰り上げ返済を積極的に行いましょう。

不動産会社による買取り

次に、住み替えローンは、売却と購入を同時にするという条件がありますが、先ほど不動産会社に買取りを依頼すれば大丈夫とお伝えしました。

ただし、不動産会社の買取りは、市場価格の70%位が相場です。
できれば、市場で売却できることが望ましいです。

しかし、不動産会社の買取りは、価格が下がるデメリットだけではありません。

ハウスクリーニングやリフォームの手間がかからない

市場で売却する場合は、内覧に来られた方に、部屋が印象よくうつることが重要です。

その為、部屋を出来る限りきれいにして、場合によってはハウスクリーニングやリフォームが必要になることもあります。

しかし不動産会社には必要ありません。
いくら部屋が汚くても、本質的な価値を見て価格を決めます。

市場で売却する時のように、印象は関係ありません。

契約不適合責任がない

もし、隠れた瑕疵があった場合を考えれば、不動産会社による買取りは安心です。

隠れた瑕疵とは、買主が契約で知り得なかった問題です。
売買契約の後に、隠れた瑕疵が発覚した場合は、契約の解除、もしくは賠償請求を行うことができます。

これを「契約不適合責任」と言います。
しかしこれは、買主が一般の消費者である場合です。

不動産会社はプロであるため、こちらの内容は適応されません。

住み替えローンを利用する以外の方法

ダブルローン

住宅ローンを二重に組む方法で「ダブルローン」があります。
ただし、毎月の返済額が2倍になるため、ローンの審査は厳しくなります。

比較的審査が優しいのが「フラット35」です。
年収や勤続年数を問われない上、住宅ローンの残債を審査に含めない点が大きいです。

注意点として、残債を含めない条件は、今の住宅を売却する予定があることです。
これは「媒介契約書」で証明できます。

基本的に、預貯金がある程度貯まっていなければ、難しい選択肢です。

つなぎ融資

売却と購入のタイミングが合わなければ「つなぎ融資」を組む方法があります。

購入に当たる資金を借り入れ、売却額で精算します。
デメリットは、まず諸費用がかかることと、金利が高いことです。

あくまでつなぎの融資のため、返済期間は短いです。
次に、買取保証サービスとセットになっていることです。

記事までに売却が決まらなければ、不動産会社が買い取ります。
買取額は、一般で売却するより基本安くなります。

だいたい、相場の80%と言われています。
売却額にこだわりがある場合は、十分に検討してください。


実際に住み替えローンを利用した方の体験談

【体験談】マンションの売却額でローンを完済できなくて

私は都内で、5年前に購入したマンションに、夫婦2人で暮らしていました。

特に住まいに不満はありませんでしたので、何もなければこのままずっと住むつもりでした。

しかし突然の転勤が決まったのです。

今回の転勤は、都内に戻るとしても当分先になると事前に伝えられました。

事例が出た日の夜は、今のマンションを売却して賃貸にするか、それとも購入するかについて、妻とよく話し合いました。

結果、今回の転勤は長くなりそうだという理由で、思い切って住み替えをすることに決定しました。

住宅ローンが残っていて不安でしたが

次の仕事休み、夫婦で近くの不動産会社に訪れました。

急な転勤で住み替えをすることになり、急いでいることも伝えます。

まずは、今の住まいの査定から始まりました。

査定は早く、数日後には報告を受けることができました。

しかし結果は芳しくなく「1700万円」。

残債は「1900万円」残っている為、売却しても住宅ローンの完済ができません。

価格を上げることができないか相談しましたが、急ぎの状況をふまえると、これ以上あげない方が良いとのことでした。

しかし住宅ローンが残っていて、購入費用だけでも苦しい状態で、そもそも住み替えが出来るのが不安になりました。

不動産の担当者は私の不安を感じ取ったのか、すぐに大丈夫だと伝えてくれました。

こういう時は「住み替えローン」を利用すれば、問題ないとのお話でした。

住宅の売却額がローン残高を下回ることに

私は初めて聞いた言葉だったため、簡単に説明を受けました。

聞いたことをそのまま説明すると「住み替え時に今の住宅を売却しても住宅ローンの残存額がある時、その住宅ローンを上乗せして新居の住宅ローンを借りられる」というものでした。

これは今の私にとって、魅力的な内容でした。

そもそも、住宅の売却額がローン残高を下回ることは、別に珍しくないとのことでした。

私はこの言葉ですごく楽になりました。

住み替えローンを利用する際の注意点

ここで、住み替えローンを利用する際の注意点について説明がありました。

購入物件の価値以上にローンを借り入れるため審査が厳しい。

重要な点は、勤続年数と年収だそうです。

私の年収は平均ぐらいですが、勤続年数は長いのでその点は大丈夫だと思いました。

借入額が多くなる為、毎月のローン返済額も多くなるということでした。

収入から返済額を差し引いても、生活に支障がないか、しっかり資金計画を立てることが重要だと教えてもらいました。

営業マンに言われたとおり、しっかり資金計画を立てていく必要があります。

早速その日の夜、妻にマンションの査定額とローンについて話しました。

そして、妻も納得してくれましたので、住み替えローンを利用して売却と購入を進めることになりました。

ローン返済シミュレーション

後日、不動産会社の担当者さんが、ローン返済シミュレーションを作ってくれることになりました。

作成には、マンションの査定額と購入する物件を決める必要があります。

査定額は初めに出して頂いた通り「1700」万円です。

購入する物件も早く決めないといけません。

物件については。今後の生活に支障をきたさない程度の価格で探しました。

ただ転勤先の地域は、相場が今住んでいる地域より下がるみたいで助かりました。

価格を下げて探したところ、むしろ今より良い中古マンションがたくさんありました。

いくつか物件の内見を済ませ、夫婦互いに気にいる中古マンションを決めました。

購入価格は「2000万円」です。

ここで住み替えローンの申し込みを行いました。

マンションの売却も価格をあまり高く設定していなかったため、すぐに問い合わせが数件入りました。

結構人気だったようで、すぐに売却が決まりました。

結果、200万円の残債と新居の購入費用2000万円を合わせて、2200万円で住み替えローンの申し込みを行いました。

そして、驚くほどあっさりローンの承認を得ることが出来ました。

諸費用については、預貯金で問題なく支払えました。

振り返ってみて

今回はマンションがあっさり売却できたので、もう少し高く売りに出しても良かったのではという気持ちは残りました。

今回のことを友達にも話したところ、「複数の不動産会社に査定依頼を出したら、もっと高く売れたかもね」と言われました。

確かに、最初から複数の不動産会社にも査定依頼を出していれば、もっと高く売れたかもしれないと思うこともなかったので、もし次回また売買をすることになった時は、複数の不動産会社に査定を依頼したいと思います。

ただ、もちろん今回の売却は急いでいたという理由がありますし、担当して下さった不動産会社の方には、本当に感謝しています。

いろいろと親身になって対応してくれたおかげで問題なく住み替えを終えることができました。

素人だけでは、住み替えに向けたスケジュールを立てる事さえ難しかったと思います。

自分だけでいろいろと悩まずに、専門家である不動産会社の担当者さんにきちんと相談して、一緒に住み替えに向けて動いていくことが大切だと実感しました。

あと、不動産会社の方がシミュレーションしてくださったおかけで、ローンの返済も問題なく生活に支障も出ていません。

これも不動産会社の担当者さんが親身になっで対応して下さったおかげだと思っています。


最後に

住み替えローンは、売却額で住宅ローンを完済できない時に利用できます。
審査が厳しい点を除けば、とても利用しやすいローンです。

ですが、実際に住み替えローンを利用した方が良いかどうかは、依頼された不動産会社の担当に、よく相談してください。

どのような方法が良いかは、その人の状況を的確に見定めなければ判断できないからです。

そのためにも、経験豊富な担当者に当たることが重要になってきます。

決して、一つの不動産会社で判断せず、複数の不動産会社に相談されることをお勧めします。

直接店舗に行かなくても「不動産一括査定サイト」で複数の不動産会社に相談することもできます。

ウチラボ編集長
家を売るなら、無料の一括査定サイトがおすすめです。

「不動産の売却を検討されている方」や「家の査定価格が気になる方」には、一括査定サイトがオススメです。

一括査定サイトでは、一度の入力で複数の不動産会社に一括で査定を依頼できますので、大変便利です。
私がお勧めする一括査定サイトは「リビンマッチ」です。

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